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病医院の資金調達手法とそのポイント(3)

開業時の資金調達と医療機関債等
医業経営コンサルタント・税理士 田島 隆雄

診療所開業時は資金計画を立てても、思い通りにいかず資金不足になる場合があります。そこで資金不足をぐポイントと診療所開業時専用のローン等をご紹介します。併せて、最近新しい資金調達方法として注目されている医療機関債の概要等についてもご紹介します。

診療所開業時専用の資金調達

●クリニック開業ローン(リース)の活用
 診療所(クリニック)を開設する場合には、診療圏分析や開院計画書に基づいて、診療所の規模や医療機器、スタッフなどを決定し、開業資金計画を立てます。しかし、開業後2〜3年のいわゆる立ち上げ期間では、開業資金計画通りに進まないことがあります。特に、患者数が安定段階に達するまでは、基本的に医療収益は上がりますが、その分費用も上がるため、早めの資金調達によって、資金繰りに余裕を持たせることが必要となります。開業専用の資金調達方法の1つとして、東京三菱銀行の「TKCクリニック開業ローン」があります(表1)。また、開業に伴う設備機器(医療機器・事務機器・備品・内装設備等の)のリースとしては、ダイヤモンドリースによる「TKCクリニック開業リース」等があります。綿密な計画のもと、資金ショートしないよう万全の準備をしましょう。ローン等の詳細は、それぞれの金融機関にご相談ください。

●開業時資金調達のポイント
 土地(購入の場合)や診療所建物は一般に担保提供され、抵当権が設定されます。この場合、借入期間は短いほど理想的ですが、安全性を考慮して幾分長めにします。そして、資金に余裕ができた時点で内入返済する方法がよいでしょう。
  医療機器は、技術進歩が早いものは買い入れよりもリースにして、入れ替えに対応できるようにするとよいでしょう。また、薬問屋等への支払いはサイトをあらかじめ相談して決めるようにしましょう。

直接金融による医療機関債(地域医療振興債)

  医療機関の資金調達には、銀行等からの間接金融による借入れに対して、直接投資家から資金提供を受ける直接金融があります。その一形態が医療機関債です。現在、いくつかの医療法人が導入しており、今後は採用する医療機関も増えると思われます。
  医療機関債は金銭消費貸借扱いとなるため、発行の根拠が有価証券取引法上にはありません。発行に関する規定もありません。そこで、日本医療法人協会では少人数私募債の発行方式に準拠する形式で提言しています
(表3)。つまり、不特定多数の公募債と違って広告などによる購入者の募集はできず、知人・取引先・地域住民・職員など、身近な方々から募集することになります。




メリット
・地域住民や患者、職員などを対象として発行するため、地域との結びつきが強くなる
・株式等と異なり、資金提供者に議決権は付与されない
・銀行融資の場合は、期間中に元金返済を伴うが、医療機関債は期限に一括償還するため、キャッシュ・フローに優れている
・利率は1.5%〜2.0%の低利率で調達が可能

デメリット(注意点)
・期限時に償還ができない場合、職員を含めた地域の信頼を失い、存続が難しくなる
・多額の資金調達には不向き
・償還期間は最長5年のため、長期の資金調達が難しい
・募集の際は、要望事項や主旨など各種の書類作成や募集活動期間を要するため、資金調達面では銀行融資のほうが素早くできる

その他の資金調達方法

●リースバック方式
 リースバック方式とは、医療機関で所有している(過去の購入資産)医療機器・車両・事務器具・備品などをいったんリース会社へ売却し、同一資産を売却したリース会社から賃借(リース)することを指します。
 このリースバック方式は売却時(表4医療機器等を売却する)にリース会社から買入資金が医療機関に支払われるため、資金調達が可能になります。



その後は、リース会社に月々のリース料を支払うことになります。この取引のメリット・デメリット(注意点)は以下の通りです。

メリット
・所有していたことによる税金や保険料の支払い、メンテナンス等の管理事務が省力化される
・所有資産売却により資金調達ができる

デメリット(注意点)
・財務状況によっては応じられない場合がある
・通常の購入に比べ、金利分だけリース料が高めに設定される
・相当の年数が経過している資産については取引ができないこともある

●取引保証金の受領による資金調達
 昨今においては、医療機関の経営健全化や医療の効率化等の観点から、特に病院業務の外部委託への傾向も見受けられます。これらの外部委託先より、継続的取引を保証する観点から病院が取引保証金を受領し、資金調達を行う場合があります。

●生命保険の活用による資金調達
 この方法は契約者貸付金の利用や解約返戻金により資金調達し、理事、職員等の退職金に充当する仕組みが検討されています。

※少人数私募債……株式会社が発行できる社債の一種。50人未満のいわば縁故者から資金提供を受けるため、無担保・無保証で発行するもので、行政への届出や有価証券報告書などの提出が不要。手軽な資金調達となっている。

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